田舎の停留所にて出逢う男女。
最終バスに乗り遅れる男と、最終バスを見送る女。
男は帰る手段を探して女に話しかけるが、女の返答は常に的外れで噛み合わない。噛み合わぬまま、二人の奇妙な会話は何処へ向かうのか。
「バスは来ませんよ」
女は何かを待ち続ける。
本作は、不条理劇の代表的作家・別役実による一幕劇であり、「求めること」と「与えられること」の断絶、人間同士の対話の不可能性を、日常的な会話の中から浮かび上がらせる作品である。上演時には『求むな、されど与えられん』のタイトルで発表され、後に単行本収録時に改題された。
本公演では、別役実作品特有の会話のズレや意味の空転を、二人芝居という形式の中で丁寧に立ち上げることを目的とする。物語を説明するのではなく、観客自身が言葉の裏に潜む不安や暴力性を読み取る余白を残すことで、不条理劇の本質を体感できる上演を目指す。
